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バングラデシュでおきたテロと英国の国民投票の結果を受けてのメモ(2016/07/05)

2016年7月5日に書いたものを誤字脱字を直し、加筆したものを再掲載する。(2021年4月9日)



バングラデシュでおきたテロと英国の国民投票の結果を受けてのメモ>(2016/07/05)

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バングラデシュでおきたテロと英国の国民投票の結果を受けてのメモ>

バングラデシュでおきたテロで、日本人も犠牲になった。犯行グループが、外国人を標的としたテロである可能性があることとその可能性が強まっていると報じている。外国人を標的とした可能性があるのは、犯行グループが人質を取って立てこもったときに、バングラデシュ人と外国人、イスラム教徒とそれ以外に分けようとしたという証言からであると報じている。このテロで犠牲になった20人の国籍をみると、日本人、イタリア人、バングラデシュ系米国人、インド人、バングラデシュ人。現在、バングラデシュでは捜査が続けられている。




つい先日は、英国がEUの加盟国でいるか/いないかを決めるための国民投票をした。その結果は、EUから離脱することに投票した英国人の方が多かった。開票結果は「離脱」が51.9%「残留」が48.1%。現在の英国の首相は与党である保守党のキャメロン党首だが、キャメロン首相は国民投票の結果を受けて辞任することにした。キャメロン首相は英国がEUの加盟国のままでいることを訴えてきて、国民投票の結果をうけてその責任をとるかたちで辞任を表明した。

 その後、英国がEUから離脱した方がいいと主張してきた、有力政治家の進退が報じられている。キャメロン保守党党首の後任を決めるための党首選では、離脱を支持する意見を述べてきた有力候補であったボリス・ジョンソンロンドン市長が不出馬を表明した。英国のEUからの離脱運動を主導してきた英国独立党のナイジェル・ファラージ党首は、党首を辞任することを発表した。


「離脱派」の有力者の進退が報じられているが、英国がEUの加盟国をやめた方がいいと主張してきた「離脱派」は運動中に報道によると次(引用)のようなことをいってきていた。国民投票が終わった後、EUの加盟国のままでいるか、離脱するかをめぐって、国民投票の結果がでた後も双方の意見が交錯していることが報じられている。



〈引用〉

「離脱派は運動中、EUへの負担金が浮けば、財政難の国民保険サービス(NHS)に週あたり3億5千万ポンド(約480億円)を拠出できると主張した。ところが、離脱という結果になった途端、「使途は約束していない」「誤り」などと、公約を否定し始めた」。一方で、「残留派」も残留することの経済的な話しばかりを訴えてきた。(2016年7月5日朝日新聞朝刊)。




 日本人も犠牲になったバングラデシュのテロと英国の国民投票の結果の今後は、現在進行中ではっきりしないことも多い。この二つの事件に興味をもつのなら、排外主義とポピュリズムを考えたり、日本の将来を考えていく上で、学ぶことがあるだろう。


〈参考〉

杉田さんはポピュリズムについてこの著書で次のように言っている。

杉田敦著『政治的思考』(岩波新書

<<引用>>

P97〜P99 第4章 権力 ーどこからやってくるのか

「 ポピュリズムとは何か

従来の主権的な権力が無力になり、問題を解決できなくなっていく中で、問題を自分たちの外部にある何かのせいにしようとする傾向が強まっています。これは、問題は自分たちとは関係がなく、外部からやってくるという発想にもとづくものです。誰か悪い人たちが自分たちに迷惑をかけている。彼らを攻撃しさえすればよくなるという考え方です。そして、これは現在、ポピュリズム現象という形で出てきています。

ポピュリズムを批判するのは難しい。へたをすると、民主政治そのものを批判することになってしまうからです。民主政治は多数派の意見に従うものです。多数派の意見が愚かだとしてそれを批判すると、民主政治そのものを批判することになってしまう。多数派よりも正しい少数派に従えというのでは、民主政治とはいえません。しかし、かといって、民主政治なら何でもいいことにはならないでしょう。ゆがんだ民主政治は批判されなければなりません。

民主政治への批判にならないように、ポピュリズムを批判することは可能でしょうか。それは、ポピュリズムの定義によります。私は、ポピュリズムとは、多数派にとって不都合な問題をすべて外部に原因があることで、真の問題解決を避ける政治であると定義したいと思います。

多分多分どういうものがポピュリズムの例といえるでしょうか。ヨーロッパでは、移民の排斥がその典型でしょう。第二次世界大戦後、ヨーロッパでは、旧植民地などから多くの移民が移り住み、低賃金労働を担っています。彼らは社会に貢献しているのですが、こうした移民がいるから自分たちの雇用が失われ、治安が悪化しているとして、ナショナリズム的政策をとる政党が力を伸ばしています。経済問題をそれ自体として解決するのが難しいため、移民のせいにしているという面が否定できません。

…」




✳︎

 ダッカ・レストラン・襲撃人質(バングラデシュで起きた)テロ事件は、2016年7月1日夜(現地時間)、武装した7人がバングラデシュホーリー・アーティザン・ベーカリー(the Holey Artisan Bakery)を襲撃し、数十人を人質に取った事件。死者負傷者が多数出る凄惨な事件となった。

 襲撃犯が襲ったレストランは、バングラデシュ首都のダッカにある。外交関係施設などが集まるグルシャン地区にある。犠牲になった外国人は18人で、イタリア人が9人、日本人が6人、インド人が1人、アメリカ人が1人。警官が2人亡くなっている。2人の民間バングラデシュ人が亡くなっている。襲撃犯は全員バングラデシュ人、うち6人が死亡。

(2021/04/09)追加

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  • 作者:杉田 敦
  • 発売日: 2013/01/23
  • メディア: 新書