過程的なノート

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日本的な課題の重さと日本的な軽さ

安全保障関連法では、今まで日本国憲法では出来ないとしてきた集団的自衛権の行使を可能とするものを含んでいた。そのために広く法案反対の運動が起こり、反対する人々が声をあげた。このような動きの中でこの夏の象徴的な存在は、学生のグループSEALDSだった。メディアで取り上げられたりすることがあった。彼らの中にはその後に向けた取組みを始める者もいる。今までの歴代内閣では集団的自衛権の行使は出来ないと説明してきたのであるから、大きな変更をしたことになる。そもそも憲法とは何であるのかということから、安倍総理・政府、自民公明・与党に対しての批判が強まった。

最近、安倍総理への支持率が回復傾向の動きがあることを示す世論調査の結果が出ているが、安全保障関連法案の国会審議をしている間は、支持率が低下していった。支持率が回復する結果が出た世論調査が示されることとは対照的に来年の参議院選挙に向けた動きがある。改憲を阻止したい人々の間では、自民党の政治家の当選する数が増えないように、野党の政治家が当選する機会が増えるための動きがある。容易に改憲されないためでもある。

法案が合憲か違憲かで今年の夏は国会が揺れ、それは国会前から全国の街路に広がりをみせた。若者からは高校生がデモを主催した。この夏のデモは年寄りばかりではない広い年齢層からの参加があったという声をきく。

今まで集団的自衛権の行使は憲法では出来ないとしてきたのであるから、憲法学者や弁護士などの法の専門家を核とした何故憲法違反であるのかの批判の意見が多くされた。
安倍総理、政府は、何故必要であるかの問いに対しては、安全保障上の環境の変化のためと説明した。
具体的にどのような安全保障上の環境の変化があるのかについては、軍事を拡張している国家があることを説明した。この意見に対しては、冷戦期と現在とはどう違い、冷戦期よりもどのように安全保障上の危機が増しているのだろうかという意見が聞かれた。
安全保障関連法に批判的な意見を持つ多くには、なぜこの関連法が必要かに安全保障上の環境の変化を理由とすることでは説得力を持たなかったようだ。
法案を採決する時、強行採決が行われたと法案に反対する人々から法案の可決のプロセスに対して批判があった。

こうして今年、2015年の夏は次の季節に変わっていった。

そして、2015年の暮れの押し迫る時期の昨日は日本と韓国の間で歴史認識に関わることで長年懸案とされてきた従軍慰安婦に関わることを解決に向けた日韓の間で合意がなされた。

グローバル化した世界はメディアを通して知ることが出来る。例えば、難民問題とISや気候変動への課題とかを考えればよいだろう。日本国内もみても課題は山積みだ。そういう環境の中で憲法や安全保障の課題は重い課題である。今年の夏の安倍総理・政府・与党は、この課題に取組む上でその課題の重さに慎重に充分に対応する必要があっただろう。多くの憲法学者違憲であるといった批判的な意見に真摯に対応したとは言い難いのではないか。仮にも憲法学者である。憲法学者が何を専門としてこの日本という地域にあるのだろうか。安倍総理は政治家という専門家で国会議員をしており、議員という専門職の中で最も責任の重い職についている。こういった多くの専門家から大衆、赤子まで、そして将来世代の利害にも関わることを決めるためには充分に慎重に事を尽くして対応をする必要がある。それなのに充分に慎重に事を尽くして対応することを疎かにするような事を「日本的な軽さ」と言おう。

基本的な人権は民主主義の国家で決してないがしろにしてはならない前提である。民主主義の法治国家の前提である。日本国憲法は、日本国がどのような国家としてあり続けるのかの法である。


一方で昨日は日韓の間の重い懸案を解決するために日韓の間が動いた。そういった意味で昨日の日本国政府と韓国政府の両政府でかわした約束に期待したい。