過程的なノート

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大相撲名古屋場所8日目、結びの出来事

今日(17日)、家族とテレビで相撲を観ていた。大相撲名古屋場所8日目、結びの一番でそれは起きた。結びは、東の横綱照ノ富士と西の若元春の一番であった。私は相撲は好きで、観れる時はよくテレビの前で家族と観ている。相撲観戦は好きであるが、相撲にとても詳しいというわけではない。しかし、幼い時から相撲に親しんできたといってよいだろう。

今日、生じた出来事は、行司と力士との間でのコミュニケーションの最中に起きた。珍事だったということらしい。

行司は土俵の中では絶対である。行司の軍配は、つまり勝敗の判定は絶対である。絶対であるという意味は、競技におけるフェアネスを最優先の事とする。そのことを尊重するためである。審判は、スポーツなどの競技、競いあう場において、ルールの守護であり、その場(競技)のルールにしたがって判断や判定をくだす存在である。しかし、彼(彼女)は、ミスを犯す事がある。微妙だったり、難しい判断や判定を必要に応じてしなければならない。その場合の判断や判定への対応は、たいがい他に用意されている。


今日の珍事は、土俵の中で絶対である行司の判断と競う力士との間のコミュニケーションの最中に生じた。

相撲の土俵際は、あまたのドラマが生まれる。相撲の醍醐味となっている。そのために相撲の魅力の一つとなる。

どちらが先に倒れて、土についたか。どちらが先に土俵の外に出たか。動きの中で、瞬間のことであるために行司の判定が誤る事がある。瞬間のことなので、どちらかが勝ったか判定する事が微妙で難しいことになるのは少なくない。行司はどちらかに軍配を上げることになっている。だから、土俵際の微妙な判定が相撲の醍醐味となっている。

行司がする勝敗の判定に異議が生じる事があるため、土俵の外で取組をみている勝負審判が5人いる。彼らは、行司の軍配(勝敗の判定)に異議を感じたら、直ちに「異議あり」と物言いを意思表明をすることになっている。そして、勝負審判5人による協議をして、多数決で判定する。この過程でどちらかが勝ったかという判定が難しい場合は、取直しとなる。相撲の取組の一番を最初からやり直すのである。行司がする勝敗の判定、そして、審判団の協議を経て、取直し、これが相撲の魅力の一つとなっている。

相撲において、土俵の中では絶対である行司のする判定が難しい判断であった場合、勝負審判の協議を仰ぐことは決して少なくない。そして、取り直すという判定は決して珍しいことではない。

しかし、今日の結びでの出来事は珍しいことだった。

行司が「廻しまった」と廻しの乱れを正すように判定したことが横綱照ノ富士には伝わっていたが、若元春には伝わっていなかった。横綱照ノ富士は、行司の判定に直ちに反応を示したが、気づかなかった若元春はそのまま取組を続けていた。そのために珍事が生じた。そこで、この出来事の勝敗をどのようにすればよいのか判断するために、勝負審判の協議が必要になった。

勝負審判の協議は、「廻しまった」が成立したかどうかという点だったようだ。審判長は、「行司がまわし待ったをしたときに、動いてしまいましたので、まわし待ったの状態から再開します(NHKWEB)」。

行司の判定が上手く競う二人の力士に伝わっていなかったために出来事が生じた。この出来事の判断の別れ目は、事が成立していたかだった。

再び土俵に戻った横綱照ノ富士と若元春が組み合わさる様子は、この日の珍事を飾るような一幕となった。相撲の会場に訪れた観客の拍手や声援があふれる中、両力士は取組を再開しようと立つ。自分達の位置や姿勢を決めるための確認をする。この様子は、出来事がまれであるために何処かぎこちないものだった。

再開した結びの一番は直ぐに勝敗が決した。東の横綱照ノ富士が勝った。行司は、「照ノ富士」と軍配を上げた。そして、会場に拍手が響いた。




〈参考〉

日本相撲協会

https://www.sumo.or.jp/


大相撲8日目 結びの一番 「まわし待った」の成立巡り審判協議 | NHK | 大相撲

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220717/k10013723071000.html


「まわし待った」で止まらず 結びは異例の一番に―大相撲名古屋場所:時事ドット

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022071700356&g=spo


【珍事】舞の海氏「行司の大失態と言われても仕方ない」まわし待ったに厳しい言葉「前代未聞」 - 大相撲 : 日刊スポーツ

https://www.nikkansports.com/battle/sumo/news/202207170001217.html


【玉ノ井親方 視点】行司の“まわし待った”は妥当な判断。若元春はスタミナ切れ― スポニチ Sponichi Annex スポーツ

https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2022/07/17/kiji/20220717s00005000622000c.html


「勝負審判」

ウィキペディア 2022年7月18日閲覧